適用範囲:DS-5
ARM Streamline初回接続時のエラーはターゲットのネットワーク設定やファイアウォールによるポート転送の阻害に関連することが多くあります。もしこれらの問題が起きていないことが確実であればお手元のBoard Support Package(BSP)にStreamlineで必要なgatorドライバ及びデーモンがインストールされていない可能性があります。Streamlineがインストールされている既存のBSPをお持ちでない場合はLinuxカーネルソースをダウンロードしてBSPをビルドする必要があります。
どうやって機能しますか
gatorドライバはgatorデーモンが起動したときにLinuxカーネル内に挿入される動的モジュールです。周期的な割り込みをプロセッサに行い、スタックをめぐり、パフォーマンスの評価情報を収集します。gatorドライバがこれらの情報を収集するために、Linuxカーネルはこの情報を有効にし、適切な配置が行われなければなりません。それからデーモンはドライバによって集められたデータを読み、.apcフォーマットに処理し、Streamlineの解析エンジンに転送します。そしてStreamlineは表示のために.apdフォーマットにそれらのデータを処理します。
従って、正しい設定の行われたカーネルとgatorデーモンとドライバがターゲット上で動作する必要があります。以下にどのようにこの処理を行うかを記載します。
カーネルの準備とビルド
適切なクロスコンパイル環境があるという前提で、Linuxカーネルの必要とされているバージョンのものをダウンロードし、ターゲットプラットフォームに合わせて設定およびカスタマイズをしてからビルドしなければなりません。例:
wget http://www.kernel.org/pub/linux/kernel/v2.6/linux-2.6.35.7.tar.bz2 tar xjf linux-2.6.35.7.tar.bz2 cd linux-2.6.35.7 export CROSS_COMPILE=${CROSS_TOOLS}/bin/arm-none-linux-gnueabi- export ARCH=arm make platform_defconfig make menuconfig make -j5 uImage
platform_defconfigは設定ファイルのうちの1つでカーネルの arch/arm/configs ディレクトリまたはベンダ提供の設定ファイルとして存在します。make menuconfig のステップで、以下の要求される設定を有効にしてください。カーネルのバージョンによって、これらのmenuconfig内のコンフィグレーション設定は異なることがあります:
- General Setup -> Profiling Support
- Kernel hacking -> Tracers -> Trace process context switches and events
- Kernel Features -> High Resolution Timer Support
context switches and events オプションは他の tracers 設定が有効になっていると表示されません。他のtracers 設定を使用可能にしておくのは、コンテキストスイッチとイベントを有効にするのに十分です。
一部のCortex-A8ターゲットに対する追加のカーネル設定:
- System Type -> SoC_name debugging peripherals (SoCでサポートされるパフォーマンスカウンタを有効にします)
Gator Moduleのビルド
gator.koモジュールの生成は以下のようにおこないます。
cd /ds-5-install-directory/arm/src tar xzf gator-driver.tar.gz cd gator-driver export CROSS_COMPILE=${CROSS_TOOLS}/bin/arm-none-linux-gnueabi- export ARCH=arm make -C <kernel_build_dir> M=`pwd` modules
ビルドが成功すればgator.koモジュールが生成されます。
Gatorの実行
カーネルをターゲットにロードして、gatordとgator.koをターゲット上のファイルシステムにコピーします。gatordはds-5 install dir/arm/armv5t/にあります。以下のコマンドを入力して、&color(blue){gatordに実行パーミッションを与えます:
chmod +x gatord
gator.koはターゲット上のgatordと同じディレクトリになければいけません。root権限で、デーモンを実行します。
sudo ./gatord &
Gatorの自動起動
gatordをターゲットブート時に自動的に実行するには、以下のコマンドを入力します:
cd /etc/init.d vi rungator.sh #!/bin/bash /path/to/gatord & update-rc.d rungator.sh defaults
概要
ARM StreamlineはサポートされているBSP上で動作できる準備ができていますが、カーネルの設定、gatorドライバのビルドおよび場合によってはTracersまたはHRTimersが有効になっていない場合にはカーネルのリビルドが必要である点についてはサポートされていません。生成されたとき、StreamlineはBSPに統合され、お客様のパートナーや顧客に対してクリーンなout-of-boxを体験させることができます。Streamlineはお客様のターゲットにわずかな手順でお使いいただくことができます。