Arm Development Studio 2018.0 リリースノート
紹介
このリリースノートは以下を含みます:
- パッケージに含まれるツールのハイライト
- Development StudioのGetting Started
- フィードバックおよびサポート
- このリリースでの既知の制限事項
Development Studioに含まれるもの
Arm Development Studio IDE
Arm Development Studioはお客様のビルド、コーディング、デバッグを助け、Armベースのプロジェクトを高速に最適化します。高効率のマイクロコントローラアプリケーションを作成するためにデバイスの立ち上げからアプリケーションデバッグまで、Development Studioによってお客様はより優れた製品を競合他社に先駆けて市場に投入いただけます。
Arm Compiler
Arm Compiler 5およびArm Compiler 6ツールチェインによってArmプロセッサの全レンジに対する高度に最適化された組み込みアプリケーションをビルドできます。Arm Compiler 5はArmv4からArmv7までのすべてのArmアーキテクチャをサポートしています。Arm Compiler 6はArmv6-M、Armv7およびSVE(Scalable Vector Extension)アーキテクチャ拡張を含むArmv8アーキテクチャをサポートしています。
このバージョンに含まれるコンパイラは以下の通りです:
- Arm Compiler 5: Arm Compiler 5.06u6
- Arm Compiler 6: Arm Compiler 6.11
Arm Compiler 6.11はversion 6.10に対し、以下の機能が追加されています:
- Cortex-A76、Cortex-A76AEおよびCortex-M35Pプロセッサのサポート
- C++14ソース言語モードを完全サポート
- Armv8.3-A以降のターゲットに対する分岐予測機能のサポート
- Armv8.2-Aに対する半精度浮動小数点ロング融合積命令のサポート
- メモリタギング拡張および乱数命令を含むArmv8.4-Aアーキテクチャサポート
- 3.96 CoreMarks/MHzのスコアをCoreMark Cortex-M33で実現する様々なパフォーマンスおよびコードサイズの最適化が実装済み
完全なリリースノートはArm Compiler 6ダウンロードページから閲覧可能です。
Arm Debugger
Arm DebuggerはArmプロセッサベースのターゲットおよびFixed Virtual Platforms (FVP)上でのソフトウェア開発をサポートするグラフィカルデバッガです。Arm DebuggerはArm ULINKおよびDSTREAMデバッグプローブファミリを使用したplatform configurationユーティリティによるSoC起動サポートを含みます。
Development Studio 2018.0は以下の機能を含みます:
- 単純化されたIDEではカスタマイズされたクイックアクセスコントロールを含む単一のパースペクティブ内でデバッグおよびコーディングが可能
- Arm DS-5およびKeil MDK uVisionプロジェクト用プロジェクトインポートウィザード
- 開発の初期に役立つパッケージ化されたコードを含むサンプル群
- 5000以上のデバイスに対応したCortex Microcontroller Software Interface(CMSIS)スタンダード をベースとしたソフトウェアパックのサポート:
- ソフトウェアパックマネージャおよびプロジェクト生成ウィザード
- デバイスのフラッシュプログラミングを含むデバッグコンフィギュレーションサポート
- 著名なヘテロジーニアスデバイスに対するout of the boxサポート
- 完全なリストについてはSupported Devicesのページを参照してください。
- 以下を含むカスタムプラットフォーム用デバッグコンフィギュレーションを生成するためのPlatform Configuration Editor (PCE):
- Arm CoreSightおよびArm Debug Interface (ADI)アーキテクチャのサポート
- CoreSight SDC-600用Secure Debug Channelサポート
Arm Fixed Virtual Platforms
Fixed Virtual Platforms (FVPs)はすべてのレベルのソフトウェアスタックについて開発とデバッグに対する柔軟性と使い勝手において理想的なコンビネーションを提供します。Cortex-A、Cortex-RおよびCortex-M向けDevelopment StudioではArm Fast ModelsをベースとしたFVPのライブラリが付属しています。FVPはout-of-the-box環境およびDevelopment Studioとともに提供されるソフトウェアサンプル群を利用してすぐ使用することができます。加えて、Development StudioではPlatform Configuration Editor (PCE)経由でArm Fast Modelsパッケージを使って作成したカスタムFVPもサポートしています。
新しいFVPは定期的に追加されます。最新のアップデートはFixed Virtual Platformsのページで確認いただけます。
Streamline Performance Analyzer
Arm Streamline Performance AnalyzerはLinux、Androidおよびベアメタル組み込みシステムのシステム全般にわたるパフォーマンス解析を行えるツールです。Streamlineの可視化ツールによってCPUやGPUあるいはその他Arm IPのパフォーマンスのボトルネックを簡単に発見できます。コードのプロファイリングに加え、プロセス、スレッド、関数呼び出しおよび1行ごとのCPU時間の精度で非効率なコードを識別し、システムのパフォーマンスチューニングを可能にします。
Arm Streamline version 6.8ではversion 6.7に対し、以下の機能が追加されています:
- システム設計の全段階において同一のプロファイリングソリューションを使用できるようにArm SoC Designerからのプロファイリングデータのインポートをサポート
Mali Graphics Debugger
アプリケーション内でのOpenGL ES、VulkanおよびOpenCLのAPI呼び出しをトレースし、複雑なフレームエフェクトを理解することでパフォーマンスのボトルネックの識別とグラフィックスコードの最適化を可能にします。すべてのアプリケーション内におけるAPI呼び出しをトレースすることで、ピンポイントでパフォーマンスの問題やグラフィックの欠陥を簡単に特定できます。さらにフレームバッファ、テクスチャおよびシェーダーを含むアプリケーション要素の可視化を行います。あらゆるシーンにおいてドローコールによってどのように構成されたのかを正確にみるために、再レンダリングされたドローコールではグラフィックの欠陥や問題の素早い検出が可能です。
Mali Graphics Debugger 5.1.0ではversion 5.0.0に対し、以下の機能が追加されています:
- Android Pベースのデバイスに対するルート化、非ルート化の両方をサポート
- 必要とされるホスト接続がないターゲット上でトレースを生成できるターゲット経由の制御
Getting Started
Development Studioの詳細およびインストールの手順についてはオンラインのGetting Startedのページをご参照ください。
Getting Started guideはDevelopment Studioのインストレーションフォルダにも含まれており、Arm Development Studio IDEからアクセスできます。
DS-5から移行を行う際には、DS-5 migration guideが迅速な移行のお役に立ちます。
システム要件
Arm Development Studioを快適に使用するためのハードウェアおよびホストプラットフォームの最小要件は以下の通りです:
- ハードウェア要件
- A dual core x86 2GHzプロセッサ(またはそれ相当)
- 2GBのRAM
- 約3GBのハードディスクの空き
以下の操作を行う場合のパフォーマンスの向上のためには最小で4GBのRAMを推奨します。
- 大きなサイズのイメージのデバッグ
- 大きなメモリマップをモデルでシミュレートする場合
- Streamlineの使用
- ホストプラットフォーム要件 Development Studioは以下のホストプラットフォームをサポートします。
- Windows 7 SP1 Professional Edition
- Windows 7 SP1 Enterprise Edition
- Windows 10
- Red Hat Enterprise Linux 6 Workstation
- Red Hat Enterprise Linux 7 Workstation
- Ubuntu Desktop Edition 14.04 LTS
- Ubuntu Desktop Edition 16.04 LTS
フィードバックおよびサポート
Development Studio Learnのページでチュートリアル、マニュアルおよびビデオをご覧いただけます。
また、Arm CommunityのWebサイトで、Development Studioに関する質問やサポートケースを投稿することもできます。
既知の制限事項
Arm Development Studio IDE
- Keil MDK uVisionプロジェクトをArm Development Studio IDEにインポートする場合、以下の制限事項があります:
- ターゲットのデバッグに関連するuVisionプロジェクト設定はArm Development Studio IDEのデバッグコンフィギュレーションに移行することができません。ビルド設定のみが移行可能です。
- uVisionのプロジェクトではRun Time Environment (RTE)の設定が異なるマルチプロジェクトターゲットを有することができます。Arm Development Studio IDEは各プロジェクトは1つだけRTEの設定を持つことができ、EclipseのC/C++ Development Tooling(CDT)のBuild Configurationsの概念はサポートしていません。そのため、各uVisionプロジェクトターゲットは、プロジェクトファイルの個々のコピーを持つ別々のArm Development Studio IDEプロジェクトとしてインポートされます。
- uVisionプロジェクトの変換およびインポートでは、常にプロジェクトファイルのコピーが作成されます。
- uVisionのMulti-Project-Workspaces ファイル(*.uvmpw)はサポートしていません。その代わりに、ワークスペースに含まれるプロジェクトは個別にインポートし、且つプロジェクト間の相互の依存関係を手作業で設定する必要があります。
- uVisionのプロジェクトターゲットで固定のバージョンのコンパイラを指定している場合、そのバージョンのコンパイラがインストールされていないとインポートすることができません。先に必要とされるコンパイラをインストールしておいてください。
- uVisionのプロジェクト内で指定していたユーザコマンドは、Arm Development Studio IDEにおいて プロジェクトのProperties→C/C++ Build→Settings→Build Steps で指定することのできる同等のBuild Stepsに変換されません。これらは手作業で追加しなければなりません。
- uVision Key Sequences はArm Development Studio IDEでは対応する変数に変換する必要があります。(uVision Key Sequence for Tool Parametersを参照してください)
- uVision Signature Creator for NXP Cortex-M Devices (elfdwt)は、Arm Development Studio IDEのPost-build stepとして手作業で設定しなければなりません。 設定はプロジェクトのProperties→C/C++ Build→Settings→Build Stepsで行います。 elfdwt ユーティリティはArm Development Studio IDE とともにインストールされません。(Signature Creator for NXP Cortex-M Devicesを参照してください。)このユーティリティはKeil MDKの一部としてWindowsホストプラットフォーム版のみ使用可能です。
- uVision Image File Processing の設定はArm Development Studio IDE Pre-build stepとして手作業で設定しなければなりません。(Using FCARM with uVisionを参照してください。) fcarmユーティリティはArm Development Studio IDE とともにインストールされません。このユーティリティはKeil MDKの一部としてWindowsホストプラットフォーム版のみ使用可能です。
- uVisionプロジェクトの変換およびインポートでは、プロジェクトに指定されたすべてのファイルとインクルードフォルダはプロジェクトと同一のフォルダにあるか、サブディレクトリ下になければいけません。プロジェクトフォルダ外のファイルはプロジェクトフォルダの中にコピーしなければならず、相対的依存関係については手作業で解決していただく必要があります。
- uVisionのソースグループでは、ソフトウェアコンポーネントおよび個々のファイルはツールによってリンカスクリプトが生成される際に決定される特定のメモリ領域へ割り当てることができます。この機能はArm Development Studio IDEには無いため、手作業でリンカスクリプトファイルを編集する必要があります。
- インポートプロセスの最後にはレポートが生成され、発生した問題があれば一覧表示されます。
- Arm DS-5のプロジェクトをArm Development Studio IDEにインポートする場合、以下の制限事項があります:
- *.cを含むDS-5 C++ プロジェクトをインポートする場合、*.c ファイルのコンパイルに使用されるArm C Compilerの設定はデフォルトの値にリセットされてしまいます。これはDS-5 C++プロジェクトは*.cpp/*.cxx/*.c の各ファイルに対するコンパイラ設定について固有のセットを持っている為です。Arm Development Studio IDE *.cpp/*.cxx と *.cのファイルによって異なった設定が可能です。
これには2つの回避策が考えられます:
- プロジェクトのProperties→C/C++ Build→Settings→Tools Settingsのメニューで設定を確認し、手作業で関連するArm C++ Compiler toolの設定をArm C Compiler toolにコピーします。
- プロジェクトのProperties→C/C++ Build→Tool Chain Editorのメニューから、Select Toolsボタンを選択します。Select ToolsダイアログでAllow all changesのチェックボックスにマークを付け、右側のUsed toolsのカラムからArm C Compiler toolを削除します。この変更で、*.cのファイルはDS-5の時と同じようにArm C++ Compilerでコンパイルされるようになります。