Arm Development Studio 2020.1 リリースノート
紹介
このリリースノートは以下を含みます:
- パッケージに含まれるツールのハイライト
- version 2020.1の更新情報
- Development StudioのGetting Started
- フィードバックおよびサポート
- このリリースでの既知の制限事項
Development Studioに含まれるもの
Arm Development Studio IDE
Arm Development Studioはお客様のビルド、コーディング、デバッグを助け、Armベースのプロジェクトを高速に最適化します。高効率のマイクロコントローラアプリケーションを作成するためにデバイスの立ち上げからアプリケーションデバッグまで、Development Studioによってお客様はより優れた製品を競合他社に先駆けて市場に投入いただけます。
Arm Compiler
Arm Compiler 5およびArm Compiler 6ツールチェインによってArmプロセッサの全レンジに対する高度に最適化された組み込みアプリケーションをビルドできます。Arm Compiler 5はArmv4からArmv7までのすべてのArmアーキテクチャをサポートしています。Arm Compiler 6はArmv6-M、Armv7およびArmv8アーキテクチャをサポートしています。
Arm Debugger
Arm DebuggerはArmプロセッサベースのターゲットおよびFixed Virtual Platforms (FVP)上でのソフトウェア開発をサポートするグラフィカルデバッガです。Arm DebuggerはArm ULINKおよびDSTREAMデバッグプローブファミリを使用したplatform configurationユーティリティによるSoC起動サポートを含みます。
Arm Fixed Virtual Platforms
Fixed Virtual Platforms (FVPs)はすべてのレベルのソフトウェアスタックについて開発とデバッグに対する柔軟性と使い勝手において理想的なコンビネーションを提供します。Cortex-A、Cortex-RおよびCortex-M向けDevelopment StudioではArm Fast ModelsをベースとしたFVPのライブラリが付属しています。加えて、Development StudioではPlatform Configuration Editor (PCE)経由でArm Fast Modelsパッケージを使って作成したカスタムFVPもサポートしています。
Arm Streamline
Arm StreamlineはLinux、Androidおよびベアメタル組み込みシステムのシステム全般にわたるパフォーマンス解析を行えるツールです。Streamlineの可視化ツールによってArm CPUで実行されているソフトウェアのパフォーマンス上のボトルネック、あるいはArm Mali GPUやその他Arm IPで実行されているデータプレーンワークロードを簡単に識別できます。これに加えてアプリケーション中の主要な関数やコールパスを識別するホットスポットソフトウェアプロファイラがあり、システムプラットフォーム全体のパフォーマンスチューニングを可能にします。
Arm Graphics Analyzer
Arm Graphics Analyzerはアプリケーションから呼び出されるOpenGL ES、VulkanおよびOpenCLのAPIをキャプチャして視覚化できます。これにはアプリケーション資産のキャプチャやアプリケーションフレームバッファのデバッグ可視化が含まれます。これらの機能を利用してレンダリングの問題の原因となっているAPI呼び出しを特定し、非効率なレンダリングやパフォーマンスの問題を簡単に特定できます。Arm Graphics Analyzerは以前はMali Graphics Debuggerと呼ばれていました。
version 2020.1の更新情報
Arm Development Studio IDE
- Eclipseを2020-03(4.15)に更新しました。
- Cortex-M55用CMSIS RTXv5のサンプルを追加しました。
- IDE 環境設定のセットアップに役立つArm DS 初回起動時に実行される新しいウィザードを追加しました。
Arm Compiler
- Arm Compiler 6は最新の機能追加、バグ修正およびパフォーマンス改善が行われたver 6.15にアップデートされました。コンパイラのリリースノートはArm Compiler 6 Downloadsのページからご覧いただけます。
- Arm Compiler 5は最新の機能追加、バグ修正およびパフォーマンス改善が行われたver 5.06u7にアップデートされました。コンパイラのリリースノートはArm Compiler 6 Downloadsのページからご覧いただけます。
本リリースをもってArm Compiler 5 はレガシー製品となり、Mainstream Support の最終フェーズとなりました。Arm Compiler 5.06 は、これ以上の計画されたアップデートはありません。
Arm Compiler 5 は、既存のプロジェクトにも使用できます。また旧Armv4、Armv5、またはArmv6 ターゲットの新しいプロジェクトでも使用できます。他のすべての新規プロジェクトについて、Armは非機能安全プロジェクトではArm Compiler 6(またはそれ以降)の最新リリースへのアップグレード、または機能安全プロジェクトでは機能安全Arm Compilerとしての最新のArm Compilerへのアップグレードを強く推奨します。
Arm Debugger
本 Arm Development Studioのリリースでは以下の新しい機能追加と改善が行われています:
- LEDステータス監視およびリブート制御用のDSTREAMファミリーダッシュボードを追加しました。
- DSTREAM-ST/PTでメニーコアCPUへの接続のサポートが増強されました。
- 最大で4096のアクティブなCoreSightデバイス(CPUを含む)
- DAP-Lite 2(r2)の新しいrevisionをサポートしました。
- CoreSight AXI5 AHB5 Access Portをサポートしました。
- IRISがデフォルトのFVP接続方法となりました。
- 以下の新しいプラットフォームに接続すout-of-the-boxコンフィギュレーションを含むデバッグコンフィギュレーションが追加されました。
- Neoverse N1 SDP Dual-Socket CCIX
- Corstone-300 MPS3 FPGA
- Corstone-700 MPS3 FPGA
- Intel Diamond Mesa
- NXP i.MX8 QXP (Rev C)
- 以下の新しいArm Fixed Virtual Platform(FVP)デバッグコンフィギュレーションが追加されました。
- Corstone-300
- Corstone-700
サポートデバイスの完全なリストはSupported Deviceのページを参照してください。
Arm Fixed Virtual Platforms
- 最新の機能追加、バグ修正およびパフォーマンス改善が行われたversion 11.12にアップデートされました。
完全なリリースノートはFast Models Release Historyのページを参照してください。
Arm Streamline
本Development Studioのリリースではversion 7.2から7.4にアップデートされたものが含まれます。以下の新しい機能追加と改善が行われました。:
- ArmNNライブラリ経由でArm Ethos NPU上のパフォーマンスカウンタの収集についてサポートしました。
- Exynos M5 マイクロアーキテクチャをサポートしました。(名前のみで認識され、特定のカウンタは認識されません)
- デバイス接続のユーザーインターフェイスとワークフローが改善されました。Streamlineを起動すると、接続されているすべてのデバイスが一覧表示される"Start"タブが表示され、データのキャプチャをすばやく開始できるようになりました。詳細についてはConnect Streamline to your device を参照してください。
- Arm NN のタイムライントレースデータを視覚化できるようになりました。これにより、Arm NNで構築された機械学習アプリケーションが何を行っているか、GPUなどのアクセラレータハードウェアとどのように相互作用しているかを確認できます。
Arm Graphics Analyzer
本Development Studioのリリースでは以下の機能追加と改善が行われています:
- version 5.6にアップデートしました。
- デバイスの接続サポートが向上しました。デバイスに接続するためにaga_me.pyスクリプトを使用する必要がなくなりました。この機能はGraphics Analyzerを開始すると起動されるDevice Managerの一部となりました。詳細については、Capture a traceを参照してください。
- Vulkan 1.1、1.2および関連拡張と同様に、最新のOpen GL ES拡張のbasic trace-onlyサポートを含むようAPI tracingサポートを更新しました。
以下に対するサポートは削除されました:
- Androidターゲット用Pre-Android 10 システムワイド(rootedモード)トレース
- Androidターゲット用OpenCLトレース
Supported Host Platforms
サポートされるホストプラットフォームはオンラインで確認いただけます。Getting Started GuideのHardware and host platform requirementsをご参照ください。
重要な注意事項:Microsoft Windows 7のサポートは非推奨となりました。
Getting Started
Development Studioの詳細およびインストールの手順についてはオンラインのGetting Startedのページをご参照ください。
Getting Started guideはDevelopment Studioのインストレーションフォルダにも含まれており、Arm Development Studio IDEからアクセスできます。
DS-5から移行を行う際には、DS-5 migration guideが迅速な移行のお役に立ちます。
システム要件
Arm Development Studioを快適に使用するためのハードウェアおよびホストプラットフォームの最小要件は以下の通りです:
- ハードウェア要件
- Dual core x86 2GHzプロセッサ(またはそれ相当)
- 2GBのRAM
- 約3GBのハードディスクの空き
- 大きなサイズのイメージのデバッグ
- 大きなメモリマップをモデルでシミュレートする場合
- Arm Streamlineの使用
以下の操作を行う場合のパフォーマンスの向上のためには最小で4GBのRAMを推奨します。
- ホストプラットフォーム要件 Development Studioは以下のホストプラットフォームをサポートします。
- Windows 10
- Red Hat Enterprise Linux 7 Workstation
- Ubuntu Desktop Edition 16.04 LTS
- Ubuntu Desktop Edition 18.04 LTS
フィードバックおよびサポート
Development Studio Learnのページでチュートリアル、マニュアルおよびビデオをご覧いただけます。
また、Arm CommunityのWebサイトで、Development Studioに関する質問やサポートケースを投稿することもできます。
注目すべき問題と制限事項
- ローカルサブネット上のUDPブロードキャストによるArm Graphics Analyzer Linuxターゲットデバイスの検出は、Ubuntu 18.04ホストマシンでは信頼できません。 デバイスが検出されない場合は、ターゲットデバイスのIPアドレスとポート番号を指定して直接接続する必要があります。
- RealView ICE ファームウェアは、バージョン7.0.0 build 6 をもって凍結されます。バグ修正や、新しいArm IPをサポートするための更新は行われなくなります。Armは、将来のバージョンのArm DS がRVI build 7.0.0 build 6 と互換性を保つことを保証しません。
- Arm DS IDE [DSCORE-10436]-v7-A Fast ModelsおよびIRISモデルインターフェイスを使用している場合、MMUビューは機能しません。回避策としては、新しいモデル接続ウィザードを使用して新しいモデルコンフィギュレーションを追加し、モデルインターフェイスとしてCADIを選択することです。
- Arm DS IDE [DSCORE-8365]-Ubuntu 16.04では、IDEのUIエクスペリエンスが低下しています。 これは、テーブルのセルエディターに影響するバグGTK 3.18が原因です。 これはEclipseの既知の問題です(https://bugs.eclipse.org/bugs/show_bug.cgi?id=533221を参照)。
- プラットフォームコンフィギュレーションエディター:PCEのコンフィギュレーションオプションの値を直接変更できなくなりました。 代わりに、SDF/MDFファイルの値を手動で編集する必要があります。
- [信号の管理]ダイアログボックス:[信号の管理]ダイアログボックスで信号処理を構成できなくなりました。 代わりに、handleコマンドを使用してください。
Arm DS IDE [DSCORE-8640]-以前のバージョンのArm DSで作成されたワークスペースを開くと、IDEはワークスペースをアップグレードするように求め、アップグレードを実行するのではなく別のワークスペースに変更するオプションが表示されます。
ただし、ワークスペースの変更オプションでは、別のワークスペースを選択できるようにするのではなく、同じダイアログが再度誤って表示されます。 これはEclipse IDEの既知の問題です(https://bugs.eclipse.org/bugs/show_bug.cgi?id=551260を参照)。
ワークスペースを変更するには、コマンドラインからArm DS IDEを起動し、ワークスペースのディレクトリパスをパラメーターとして渡します。 例:「armds_ide -data /path/to/workspace」。
また、ワークスペースをアップグレードすると、アップグレードされたワークスペース設定が以前のバージョンで機能しなくなる可能性があることにも注意してください。 ワークスペース内のプロジェクトは、ワークスペースをアップグレードしても影響を受けません。
影響を受ける機能: