例えば以下のようなケースではArm Development StudioやDS-5等のIDEを使用せずにArm Compilerツールチェインを実行する必要が発生します。
- RTLテストベンチ用にソースコードをコンパイルあるいは修正する
- 特定のチップセットのコードをビルドするなど、サードパーティのビルド環境内で動作させるために特定のバージョンのArm Compilerツールチェインを使用したい
Arm Compilerツールチェインはスタンドアローンで実行されるので、Arm Compilerが適切な製品ライセンスを見つけることができるように、(通常はIDEから提供される)追加情報を提供する必要があります。
すべてのユースケースに共通する設定項目は、ARMLMD_LICENSE_FILE環境変数を設定してライセンスファイルやライセンスサーバーを指すようにすることです。 続く設定手順は保有しているライセンスまたは使用するArm Compilerツールチェインによって異なります。
Arm DS-5のライセンスを持っている場合
Arm DS-5 Ultimate EditionまたはProfessional Editionの有効なライセンスをお持ちの場合が該当します。設定手順は、使用したいArm Compilerツールチェーンのバージョンによって異なります。
◆Arm Compiler 4.1およびRVCTリリースを含むArm Compiler 5.04u2以前のバージョン
ARMLMD_LICENSE_FILEの設定以外の追加設定は不要です。
◆Arm Compiler 6を含むArm Compiler 5.04u3以降のバージョン
ARMLMD_LICENSE_FILEの設定に加えて以下2つの環境変数の追加が必要です。
- ARM_PRODUCT_PATH:Arm Compilerのインストールディレクトリ内のサブディレクトリsw/mappingsに対する完全修飾パスを設定します。
- ARM_TOOL_VARIANT:DS-5 Ultimate Editionライセンスの場合はultを、DS-5 Professional Editionライセンスの場合はproを設定します。
例えば、以下のような設定を行います:
- ARMLMD_LICENSE_FILE=7010@licserv.mycompany.com
- ARM_PRODUCT_PATH=C:\Program Files\Arm Compiler 6.11\sw\mappings
- ARM_TOOL_VARIANT=ult
Arm Development Studioのライセンスを持っている場合
設定手順は、使用したいArm Compilerツールチェーンのバージョンによって異なります。
◆Arm Compiler 4.1およびRVCTリリースを含むArm Compiler 5.04u2以前のバージョン
これらのバージョンを使用するには追加のライセンスのインストールが必要です。
追加ライセンスのインストールは以下の手順に従って下さい。
- 追加のライセンスをこちらからダウンロードします。(ダウンロードにはライセンスを取得したアカウントでのログインが必要です)このライセンスファイルに含まれる情報をArm Development Studio SilverあるいはGoldおよびPlutinum Editionのライセンスに追加することで旧リリースのArm Compilerを使用できるようになります。 Arm Development StudioのBronzeおよびEvaluation Editionのライセンスでは旧リリースのArm Compilerを使用できません。
- ダウンロードしたライセンスファイルの中身をArm Development Studioライセンスファイルの最後に追加します。追加作業は、単純にテキストエディタを使用して追加ライセンスのすべての行をArm Development Studioのライセンスファイルの末尾にコピーするだけです。元のライセンスファイルのバックアップコピーを作成することを推奨します。
- フローティングライセンスの場合、ライセンスファイルの修正後にFlexNet Publisherサーバーを再起動する必要があります。ソフトウェアライセンスのFAQ "Starting/restarting the license server(s)"を参照してください。
追加ライセンスがインストールされ、ARMLMD_LICENSE_FILEが設定されていればそれ以上の設定の手順は不要です。
◆Arm Compiler 6を含むArm Compiler 5.04u3以降のバージョン
これらのバージョンを使用するにはArm Development Studio product definition filesを利用する必要があります。
本ファイルはArm Development Studioをインストールしたフォルダ内sw/mappingsに存在します。
お手持ちのArm Development Studio のエディションと合致したファイル名のものをご使用ください。
これらのファイルによってArm CompilerがArm Development Studioのライセンスを利用するようになります。
これらのファイルはコンパイラ実行時にアクセスできるようArm Compilerツールチェインと同じファイルシステム上に置かなければなりません。
それからARMLMD_LICENSE_FILEに加えて、Arm Development Studioのライセンスに対応するproduct definition fileへの完全修飾パスをARM_PRODUCT_DEF環境変数に設定します。
例えば、以下のような設定を行います:
- ARMLMD_LICENSE_FILE=7010@licserv.mycompany.com
- ARM_PRODUCT_DEF=/projects/my_project/resources/arm_ds/gold.elmap
併せて、以下の環境変数はARM_PRODUCT_DEF環境変数と競合してしまう可能性があります。
もしすでに何らかの設定が行われていた場合は必ずアンセットしておくようにしてください。
- ARM_PRODUCT_PATH
- ARM_TOOL_VARIANT
機能安全Arm Compilerツールチェインversion 6.xはArm Development Studio ライセンスのversion 2019.0以降で、verision 5.xは2019.1以降で使用することができます。
最新のArm Development Studio product definition filesを使用していることを確認してください。
注意: 既知の問題の為に、Arm Compiler 6.00 はこのセクションに記載してある手順と、前に記載した"Arm Compiler 4.1およびRVCTリリースを含むArm Compiler 5.04u2以前のバージョン"に記載した追加ライセンスの両方を適用させる必要があります。
Arm Compiler単体のライセンスを持っている場合
Arm Compiler単体のライセンスあるいは機能安全コンパイラ単体のライセンスをお持ちの場合が該当します。
ARMLMD_LICENSE_FILEの環境変数が正しく設定されていれば追加の設定は必要ありません。ただし、以下の環境変数がセットされていないことを確認してください:
- ARM_PRODUCT_DEF
- ARM_PRODUCT_PATH
- ARM_TOOL_VARIANT