Arm Development Studio 2023.0 リリースノート
リリースオーバービュー
以下のセクションではリリース時の製品とクオリティステータスについて記載します
製品について
Arm Development Studioはお客様のビルド、コーディング、デバッグを助け、Armベースのプロジェクトを高速に最適化します。高効率のマイクロコントローラアプリケーションを作成するためにデバイスの立ち上げからアプリケーションデバッグまで、Development Studioによってお客様はより優れた製品を競合他社に先駆けて市場に投入いただけます。
本製品の使用に関するサーベイは、発売後一定の時間継続して行われます。https://www.surveymonkey.co.uk/r/Arm-Development-Studio にてフィードバックを行っていただく事を歓迎します。
製品に含まれるもの
Arm Development Studio IDE
Arm Development Studio IDE は、Arm ベースのプロジェクトの作成、構成、ビルド、デバッグ、および最適化を可能にする Eclipse ベースのグラフィカル フレームワークです。
Arm Compiler
Arm Compiler 6ツールチェインによってArmv6-M、Armv7、Armv8、およびArmv9アーキテクチャを含むArmプロセッサの全レンジに対する高度に最適化された組み込みアプリケーションをビルドできます。
Arm Debugger
Arm DebuggerはArmプロセッサベースのターゲットおよび提供されているFixed Virtual Platforms (FVP)などのFast Models上でのソフトウェア開発をサポートするグラフィカルデバッガです。Arm DebuggerはArm ULINKおよびDSTREAMデバッグプローブファミリを使用したplatform configurationユーティリティによるSoC起動サポートを含みます。
Arm Fixed Virtual Platforms
Fixed Virtual Platforms (FVPs)はすべてのレベルのソフトウェアスタックについて開発とデバッグに対する柔軟性と使い勝手において理想的なコンビネーションを提供します。Cortex-A、Cortex-R、Cortex-MおよびNeoverseプロセッサ向けDevelopment StudioではArm Fast ModelsをベースとしたFVPのライブラリが付属しています。加えて、Development StudioではPlatform Configuration Editor (PCE)経由でArm Fast Modelsパッケージを使って作成したカスタムFVPもサポートしています。
Arm Streamline
Arm StreamlineはLinux、Android、RTOSおよびベアメタル組み込みシステムのシステム全般にわたるパフォーマンス解析を行えるツールです。Streamlineの可視化ツールによってArm CPUで実行されているソフトウェアのパフォーマンス上のボトルネック、あるいはArm Mali GPUやその他Arm IPで実行されているデータプレーンワークロードを簡単に識別できます。これに加えてアプリケーション中の主要な関数やコールパスを識別するホットスポットソフトウェアプロファイラがあり、システムプラットフォーム全体のパフォーマンスチューニングを可能にします。
Arm Graphics Analyzer
Arm Graphics Analyzerはアプリケーションから呼び出されるOpenGL ES、VulkanおよびOpenCLのAPIをキャプチャして視覚化できます。これにはアプリケーション資産のキャプチャやアプリケーションフレームバッファのデバッグ可視化が含まれます。これらの機能を利用してレンダリングの問題の原因となっているAPI呼び出しを特定し、非効率なレンダリングやパフォーマンスの問題を簡単に特定できます。Arm Graphics Analyzerは以前はMali Graphics Debuggerと呼ばれていました。
リリースステータス
Arm Development Studio 2023.0ソフトウェアのリリース済み製品です。
本リリースでの変更点
Arm Development Studioの本リリースでは以下の変更が行われました。
プロセッサおよびアーキテクチャサポート
以下のプロセッササポートが追加されました:- Neoverse V2
以下のアーキテクチャおよび拡張サポートが追加されました:
- Armv8.8-AおよびArmv9.3-A
- Armv8.9-AおよびArmv9.4-A
- Fast Models上でのScalable Matrix Extension (SME2)
- 一部のVMSA 2022 extensions (以下の詳細を参照)
Arm Compiler for Embedded
本Arm Development Studioのに含まれるArm CompilerはArm Compiler for Embedded 6.20にアップデートされました。本バージョンの詳細についてはRelease Note を参照してください。Arm Compiler 5 はレガシー製品となり、Mainstream Support の最終フェーズを迎えました。そのため、Arm Development Studioの製品とともには提供されなくなりました。しかしながらArm Compiler 5 はまだ既存のプロジェクト、旧Armv4、Armv5、またはArmv6 ターゲットの新しいプロジェクト用にご使用いただけます。
-こちらのページ内からArm Compiler 5 に関するリンクを経由してダウンロードし、Development Studio内でツールチェインとして追加してください。
他のすべての新規プロジェクトについて、Armは非機能安全プロジェクトではArm Compiler for Embedded 6 を、または機能安全プロジェクトでは最新のArm Compiler for Embedded FuSa(Functional Safety) を使用いただく事を強く推奨します。
Arm Debugger
Arm Debuggerには、以下の新機能と拡張機能を含みます:- Neoverse V2のサポート
- Armv8.8-AおよびArmv9.3-Aのサポート
- Armv8.9-AおよびArmv9.4-Aのサポート
- Fast Models上のScalable Matrix Extension (SME2)のサポート
- 以下を含むいくつかのVMSA 2022 拡張機能のサポート
- FEAT_TCR2
- FEAT_THE (translation hardening extension)
- EAT_S1PIE, FEAT_S2PIE, FEAT_S1POE, FEAT_S2POE (permission model enhancement)
- FEAT_AIE (memory attribute index enhancement)
- FEAT_HAFT, FEAT_HAFDBS (hardware managed access flag) ただし、128 ビット拡張 (FEAT_D128、FEAT_SYSREG128、FEAT_SYSINSTR128、FEAT_LSE128) は除く
- オンデマンドの読み込みなど、DWARF5デバッグ情報のサポートが改善されました。
DWARF5デバッグサポートはまだ完全ではありません(以下の制限事項を参照)。そのため、デフォルトでは有効になっていません。
LLVMベースのDWARFパーサーを有効にする手順については、User Guideを参照してください。 - MPS3 FPGA および FVPモデルでの Corstone SSE-310 のサポート
- DSTREAM-XTを使用した複数のETRトレースのサポート。16のETRを同時にトレースでき、最大64までのスコープを使用できます。
サポートデバイスの完全なリストはSupported Devicesのページを参照してください。
Arm Fixed Virtual Platforms
本Arm Development Studioのリリースに含まれるArm FVPはFast Models 11.21にアップデートされました。より詳細についてはFast Models Release Historyのページを参照してください。AEMv8-RおよびNeoverse V2のFVPモデルが追加されました。
Neoverse V2("Direct Connect"コア)の場合、FVP_Base_Neoverse-V2はシングルコアモデル、FVP_Base_Neoverse-V2x1-Neoverse-V2x1はデュアルコアモデルです。
Arm Streamline
本Arm Development Studioのリリースに含まれるArm Streamlineはversion 8.5.0にアップデートされました。より詳細についてはArm Mobile Studio Release Noteのページを参照してください。Arm Graphics Analyze
本Arm Development Studioのリリースに含まれるArm Graphics Analyzerはversion 5.12.1にアップデートされました。より詳細についてはArm Mobile Studio Release Noteのページを参照してください。Examples
以下を追加しました:
- Neoverse V2のベアメタルサンプル
- Arm Compiler for Embedded 6、AEMvA FVPモデルおよびDebuggerでのArmv8.8-AおよびArmv9.3-A拡張機能のサポートを確認できるベアメタルサンプル「Armv8.8_9.3-A_extns」
- Arm Compiler for Embedded 6、AEMvA FVPモデルおよびDebuggerでのScalable Matrix Extension (SME2)のサポートを確認できるベアメタルサンプル「sme2_matmul_fp32」
- Cortex-R52のGCC バージョンのstartup code、「startup_Cortex-R52_GCC」
Supported Host Platforms
サポートされるホストプラットフォームはオンラインで確認いただけます。Getting Started GuideのHardware and host platform requirements の章をご参照ください。
本リリースでの既知の問題
- Arm Debugger:Split DWARFはDWARF 5ではサポートされていません
- Arm Debugger:AArch32 Linuxカーネル バージョン 5.15以降では、OS認識のLinuxカーネルデバッグはサポートされていません
- Arm Debugger:コネクタブルプローブのオプションとして CadenceのVirtual Debugのビルトインサポートが削除されました。CadenceのVirtual Debugのユーザーは、EDAパートナーまたはCadenceに直接連絡して、プラグインの最新バージョンを入手する必要があります
- Arm Debugger:Olimex ARM-USB FTDI/JTAGデバイス用のWindowsドライバをインストールすることはユーザ責任となります。 製造元からのアドバイスに従って、ドライバは https://www.olimex.com/Products/ARM/JTAG/_resources/OLIMEX-FTDI-drivers-2-12-04.zipからダウンロードできます
- Arm Graphics Analyzer:ローカルサブネット上のUDPブロードキャストを介したLinuxターゲットデバイスの検出は、Ubuntu 18.04ホストマシンでは信頼できません。デバイスが検出されない場合は、ターゲットデバイスのIPアドレスとポート番号を指定して直接接続する必要があります
- Arm Streamline:NVIDIAドライバを使用するLinuxホストインストールでは、モニタースケーリングを使用すると、UIレンダリングの領域が黒い四角形として表示されることがあります。これは、Streamlineを起動する前に環境変数GDK_SCALEを1 に設定することで回避できます。これは Streamline 起動スクリプトで設定を行うことで回避できます
サポート
Development Studioの詳細、システム要件およびインストールの手順についてはオンラインのGetting Started のページをご参照ください。
Getting Started guideはDevelopment Studioのインストレーションフォルダにも含まれており、Arm Development Studio IDEからアクセスできます。
DS-5から移行を行う際には、DS-5 migration guideが迅速な移行のお役に立ちます。
チュートリアル、ドキュメントおよびビデオがDevelopment Studio Resourcesにあります。
技術的なご質問は弊社DTSインサイトArmサポートまでお寄せいただくか、Arm社Arm DeveloperのSupportサイトもご利用いただけます。
また、Arm CommunityのWebサイトで、Development Studioに関する質問やサポートケースを投稿することもできます。